本紹介(7冊目)

近頃は少し朝晩の涼しい日も増え、僅かながら秋の気配を感じるようになりました。

「秋」と言えば、皆様何を想像されるでしょうか。

私は専ら食欲優先です!

というわけで今回は、小川糸さんの『食堂かたつむり』をご紹介します。

 

こちらは映画化もしたので、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

インド人の恋人が部屋の全てを持ち去って消え、恋と財産を一度に失ったショックのあまり失声症になった料理人「倫子」。

彼女が関係を断っていた故郷に帰るところからすべては始まります。

かなりの人間臭さや欠点のある人もいれど、突然の帰郷を迎え入れてくれた田舎の片隅で、料理、ひいては命に実直に向き合う主人公の姿。

かなりの葛藤を孕んだシーンもあり、目を背けたくなるほどありふれた残酷な現実に向き合わされもしますが、作品の全体を通して

料理の湯気の向こうのような、優しい温かみを感じる世界観です。

読後には、毎日何気なく食べているものに感謝の念を再度抱かせてくれる一作となっています。

 

「食欲」そして「読書」の秋に、ぜひ手に取ってみてください。

名古屋営業所 稲垣まりな