本紹介(6冊目)
梅雨の時期になりました。
今年はエルニーニョ現象の影響により「冷夏・暖冬」の傾向がかなり強いのだとか。
梅雨が長引いたり、日本にやって来る台風の勢いが増したりなど、ほかの影響もあるそうです。
例年よりさらに雨の多い夏になりそうで気持ちも落ちてしまいがちですが、そんなときには「晴耕雨読」。
外出しづらい時期のお供に本を読んでみるのはいかがでしょうか。

今回ご紹介するのは、町田そのこさんの『夜明けのはざま』です。
家族葬を主として執り行う小さな葬儀屋「芥子実庵」を舞台に、それぞれが持つ立場・価値観などの「はざま」でもがく人々を描いたオムニバス形式の短篇集です。
葬儀という、人間の最期と密接にかかわる場所であるゆえに、そこに関わる、いま生きている・生きていかねばならない人々の内面や情緒が濃密に描かれています。
だからこそ綺麗なことばかりでなく、ありふれているけど目を背けたくなるような、遣る瀬ない場面も多いです。
人によっては、自身と少なからず重ねてしまい苦しさを覚える描写もあるように思います。
しかしながらそれぞれの最後には少し希望の残るような、人間の持ちうる温かみも感じられる読後感になっています。
心が波立つ様なニュースも多く気持ちが塞ぎがちな昨今に是非お勧めしたい一冊です。
名古屋営業所 稲垣まりな

