「カチカチカチカチ」

ベンダとの打ち合わせを行っている最中、それは起きた。

シャーペンで文字を書こうとすると先が奥に入り込み、全く書けない。「これはもう古い芯は出し切って新しい芯を出すか」とカチカチと一つ目の芯を出し終わり、次の芯を出したところでもう一度文字を書こうとする。書けない。

どうも二本目の芯は中で折れてしまったらしく、数度ノックしたところですぐに芯が出てきた。まあこんなこともあるかと三本目の芯を出そうとすると、今度はやたらとノックが軽い。試しにペンを振ってみると、通常なら鳴るはずの芯のかすれる音がしない。無音。もう芯がないようだ。

そんな馬鹿なとしつこくノックするもまるで芯は出てこない。横では打ち合わせがつつがなく進行しているのに、私は会議室の隅でカチカチ音のなる棒状のものと化したシャーペンに食らいついている。それでもないものは出ない。

仕方なく重要事項用に持ってきていた赤ペンでメモを取り、事なきを得た。

いつまでも、あると思うなシャーペンの芯。

システム担当 十川優香