本紹介(2冊目)
暑さがいよいよ厳しくなってまいりましたが、皆様お休みはどのようにお過ごしでしょうか。
私はかなりの出不精かつ暑さで集中力が途切れがちですので、もっぱら自室で短編ばかりを読んでいます。
というわけで今回ご紹介するのは、山尾悠子さんの『歪み真珠』です。
真珠というと丸い形を思い浮かべますが、ここでいう真珠とはバロックパールのことで、ごつごつとしたいびつな形が特徴です。
その分輝きも個々の個性があり、一本バロックパールのネックレスを持っていますが見ていてかなり面白いものです。
幻想文学に分類されるこの短編集も、そういった変化のある輝きに富んだ一冊と言えます。
詳しい方とお話ししていた際に聞いたことなのですが、山尾さんがデビューされた当時、「幻想文学」というジャンルは当てはまる作品はあれど、それを定義する言葉を持たなかったそうです。それを切り開いていった時代の機運を高めた作家のひとりと間違いなく言える方ですので、もし機会があればお手に取られてみてくださいね。
名古屋営業所 稲垣まりな