「スプレー」
本社の4Fには打ち合わせ用の部屋が2部屋、応接室が1部屋あり、それぞれの部屋には1本ずつ掃除用の消毒スプレーが設置されている。そのうちの1つだけ、やたらと勢いのいいものがある。
他の部屋のスプレーは霧状に、広範囲に噴霧できるのに対し、そのスプレーは一点集中とばかりに勢いよく飛び出す。さながら水鉄砲のようである。
とはいえ掃除するこちらも分かったもので、そのスプレーを使用する時は机に対して鋭角に噴霧するなどの対策をとって事なきを得ていたのだが、ある時別の部屋のスプレーとの入れ替わりが発生した。
机の上からほぼ垂直に噴霧された消毒液は、その勢いに任せて机を超え、椅子に届き、座面を濡らすに至った。勢いが良すぎる。猪でもこうはならない。諸々始末した後に、このまま入れ替えておくか?と悪魔のささやきが聞こえた気がするが、善良なる心で抹殺した。スプレーの勢いもいい感じに殺したいものである。
システム担当 十川優香